8ヶ月ぶりのアルバム紹介です。誰だっけ「今年は更新ペースを上げる!」って言ったの。
多分僕じゃないですね。僕を騙った見知らぬ誰かの仕業ですね。きっとそうでs(ry

・・・さて。

作詞・作曲はkous(コウス)、アートワーク・デザインはhie(ヒー)。
この二人のコラボはもはや鉄板とも言えますね。
2012年4月の通称「超ボーマス」で頒布された、kous名義では9枚目の同人アルバムとなります。(おそらく)
一時期ボーマスが開催されるごとに新譜(しかもアルバム)を発表し、2010~2011年の2年間でベスト盤やセルフカバーを含む8枚のアルバムを制作するという、とんでもない多作っぷりを発揮していた氏ですが、この『7th』はこれまでの作品の中でも更にパワーアップした、一皮むけた印象を受けました。

「七つの大罪」という比較的メジャーな題材を扱った7曲入りの作品ですが、kousさんが調理するとこうなるのか!と面白く聴けました。

◆kous公式サイト: kous+音 
◆kousの記事(ニコニコ大百科): http://dic.nicovideo.jp/a/kous
◆hieの記事(ニコニコ大百科): http://dic.nicovideo.jp/a/hie

↓ 以下クロスフェード動画になります ↓

 

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全体の総括と多くが重複してしまったので、今回は総括のみを掲載します。

◆トラックリスト

Tr.1 箱庭の悪魔憑き
Tr.2 昨日の食事
Tr.3 リノイズ
Tr.4 ing
Tr.5 故に、おちた理由。
Tr.6 その先へ
Tr.7 戴きます。



やはりテーマがテーマだけあって、アルバム全体の雰囲気も暗く、救いの無さが全体を覆っていますね。
ラストトラック「戴きます。」は、アルバム全体を通して最も明るい曲ですが、歌詞は一番救いがないという!
徹底して「悪魔」を描いているからこその、あっけない終幕。絶望する暇もない事こそ最たる絶望です。

アルバムの暗さは楽曲の細かい音にも表れていて、Tr.2「昨日の食事」のイントロからラストまで貫かれる低音も、
静かではあるけど腹の底から蠢いているのかと思うほど不気味に、そして強く響いてくるようです。
そして、これまで強かったロックテイストが今作では比較的抑え目なのも特色でしょうか。
Tr.3「リノイズ」のようなゴリゴリのエレクトロニカは個人的に大好物なので、この曲が聴けただけでも大きな収穫でした。

とはいえラスト2曲は、ロックテイストどころか完全にロックです。
が、こちらもなんだか音が進化しているような気もします。特にドラムの存在感がはっきり増していますね。
しかし、あくまで「DTMでのロック」ならではの非現実感は健在。
打ち込みと生演奏を行き来するような掴み所のなさを残しながらも、
楽曲のムードメーカーとして大いに活躍するギターサウンドの味はまったく損なわれていません。

やはりこの人の楽曲の最大の魅力は「曖昧さ」。これに尽きると思います。
音楽面では、生音と合成音、主旋律とバックサウンド。
大いに加工された生音は、合成音と区別が付きません。
歌詞でも、自己と他者、存在と非存在の境界線の危うさにハラハラさせられます。
キャッチーなサビや特徴的な言い回しも各所に散りばめられているものの、
この人の曲は「イメージ」「空間」といった抽象的な概念でこそ、人の心に残るものなのでしょう。



付記の形で最後にひとつだけ。

Tr.4「ing」は、このアルバム唯一のインスト曲です。
この人のインスト曲の特徴としては、ボーカルデータをサンプリングしたものだったり、架空言語のようではあるけどあたかも何か意味のある歌詞を歌っているようだったりと、歌モノに限りなく近いことが挙げられます。あくまでVOCALOIDのアルバムであることを意識してのことでしょうか。

10月28日に名古屋で開催される「VOCALOID PARADISE 7」には、kousさん初のインストアルバムを発表されるとのこと。タイトルは『2PENTAGON』(クロスフェード動画)。同日開催のM3で委託販売されるかどうかは不明ですが、M3では氏が所属する音楽レーベル「U/M/A/A」より、なんとトリビュート・アルバムがリリースされるそうです。レーベルリリースといっても出し方も価格も完全に同人準拠。M3で最も注目している作品のひとつです。公式サイトはこちら。 





7th7th
アーティスト:kous
販売元:+音
(2012-05-18)
販売元:Amazon.co.jp
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