ちょっと早めですが、今年のボカロ曲&ボカロアルバムの10選を発表しちゃいます。
ボカロ曲の方はニコニコ動画のマイリストにまとめました。曲順も意識したので、連続再生してお楽しみください。



続きに、ボカロアルバム10選と、それぞれのちょっとした紹介文を掲載します。
一応項目名として数字を入れていますが、特に順位をつけているわけではないのでご了承をば。






1)FMAK(曼荼羅P)「The answer of paradoxical struggle」

リリース: 2012/2/5
分類: VOCALOID
ジャンル: ロック
通販: 個人通販


間違いなく今年最も聴き込んだアルバムです。ジャケットイラストは「あまがさちも」さん。
鏡音リンが優しく歌うのは、大きな力に打ちひしがれた者の悲しみと絶望。
ジャケットに焼け野原でうずくまるリンが描かれているように、このアルバムに据えられたテーマは「戦争」。
しかし必ずしも社会的なメッセージが込められたわけではなく、テーマそのものがとても抽象的に語られることもあるために、聴くたびに異なる感じ方をさせられる、一筋縄では行かない奥の深い作品です。

2)シメサバツイスターズ「Progrematica」

リリース: 2012/2/5
分類: VOCALOID
ジャンル: プログレッシブロック他
通販: とらのあな

こちらも今年かなり聴き込んだアルバムです。ジャケットイラストは「Deino」さん。
購入してすぐ当ブログで紹介記事を書かせて頂きました。
ここ1年、全体のまとまりを意識したボカロアルバムが(特に同人で)数多くリリースされていますね。
その多くが、ストーリーや固定のテーマを礎にした「コンセプトアルバム」。僕も大好物です。
しかしこのアルバムは、同じくまとまりのある作品でありながらそれらとは一線を画します。
ただ、「音楽」だけでまとまりを生じさせ、純粋に曲構成の美しさのみで世界を提示しているのです。
タイトル通り、プログレそしてメタルを愛聴し、また作曲における高い技術とセンスを持ち合わせているからこそのとんでもない芸当。
同人でここまでしっかり構成された、それでいてキャッチーなアルバムが作られたことがあったでしょうか。
あ、あったら教えて下さい。全力で聴きに行きます。

3)Lemm「Arkhe」

リリース: 2012/4/28
分類: VOCALOID
ジャンル: エレクトロニカ他
通販: Amazonとらのあな


こちらも今年相当聴き込んだアルバムと言えるでしょう。ジャケットイラストはYuma Saitoさん。
クラシックの香りを持つ、優雅なエレクトロニカ。その音の美しさはまさに唯一無二です。
きわめてシンプルなジャケットも、その音楽の在り方を表現するには十分でしょう。
特に好きな曲は、Tr.04「KlothoPianoForte」、Tr.07「nATALIE」、Tr.11「ASTER」。
Tr.09に、Phasmaさんによる全く毛色の違うトラックが入っているのが非常に面白かったです。
またTr.12には、Tr.01「RheO」を「灯下はこ、」さんが歌ったトラックが収録されています。

4)Dong「とりうた」

リリース: 2012/8/11
分類: VOCALOID
ジャンル: エレクトロニカ他
通販: とらのあな


曲に絵にフリーゲームにとあらゆるジャンルで活動している「ヤルハラ」の主催、Dongさんの夏コミのCDです。
使用VOCALOIDは歌愛ユキと鏡音リン。中音域のユキと高音域のリンが、不思議な音の森をさまよいます。
それにしても、歌愛ユキの幼さと哀愁が見事にブレンドされた歌声は本当に奇跡としか言いようがありませんね。
近いうちに紹介記事を書きたい1枚です。現在絶賛完売中ですけど・・・。

5)トラボルタ「TORABOTIC WORLD 2」

リリース: 2012/2/5
分類: VOCALOID
ジャンル: ポップス
通販: とらのあなD-STAGE


なんと3年半ぶりとなる、トラボルタPの2ndアルバムです。ジャケットイラストは「なぎみそ」さん。
VOCALOIDシーンが醸成された初期から、童話のように優しい物語音楽や等身大のメッセージソング等で多くのリスナーから息の長い支持を受けてきた方です。
1stアルバム以降に発表した「トエト」「オメデトウ」「ソラトバズ」等の名曲もさることながら、
中でも僕が特に推したいのは、Tr.02「ウェンディーと魔法の森」です。
物語音楽コンピレーション「10story's」に向けて書き下ろした曲で、このアルバムについては僕も紹介記事でがっつり語っているので、時間があれば是非読んでみてください。

6)Phasma & NOEL-KIT「ふんわりちゃんと一緒!」

リリース: 2012/7/8
分類: VOCALOID
ジャンル: エレクトロニカ
通販: bandcamp(ダウンロード販売)


2人の個性ある作家が組んで、「それぞれの個性」と「ユニットとしての親和性」をここまではっきり示すことのできた例は稀有でしょう。
「エレクトロニカ」に大きくカテゴライズされるPhasmaとNOEL-KITですが、比較的ポップス寄りのPhasmaと、
ノイズ・アンビエント寄りのNOEL-KITそれぞれの持ち味が、時に前者寄りに、時に後者寄りに移ろいながらも、
どちらもバランス良く堪能できる音構成は見事の一言。
そして、硬派な音楽に一見そぐわなさそうなポップなイメージキャラクターも、もしかしたらバランサーとして2人の間を取り持つのに一役買っているのかもしれませんね。作者は「ミズノシンヤ」さん。
1st EPのこの作品は7月リリース、12月にも2nd EP「ふんわりちゃんと四角いやつ!」がリリースされています。

7)黒魔「mousou new world」

リリース: 2012/7/8
分類: VOCALOID
ジャンル: エレクトロニカ
通販: Amazon


時に攻撃的に、時に楽しげにチップチューンを鳴らしたと思いきや、
まさに「静寂」をもって音楽となす静かなアンビエント・ピアノ曲を書く。
このように作風の幅の広い「黒魔」さん初のCDアルバムとなる今作ですが、その構成が非常に面白いのです。
まず「目を閉じて」で幕を開け、堰を切ったように次々と現れる妄想たち。
楽しいものから悲しいものまで、ありとあらゆる「妄想」が飛び込んできます。
あたかも作者のそれを追体験しているような構成。
いやその取り留めの無さは、もはや「構成」ですらないのかもしれません。
それでもめちゃくちゃになるわけではなく、最後まで追いかけて、一緒に目を覚ましたくなるのです。
遊園地によくある、真っ暗な中を船が動くようなアトラクション。あれに乗っているような無重力感が、不思議と心地良い作品です。

8)「0401 The Best Days of 重音テト」

リリース: 2012/10/10
分類: VOCALOID
ジャンル: ポップス、ロック、エレクトロニカ他
通販: Amazon


UTAUの「重音テト」をフィーチャーした初の商業アルバムです。
ジャケットイラストは「線」さんと「エナメルP」の共作。線さんは重音テト公式イラストを手がけた方でもあります。
既存の名曲(もちろんリメイク済み)が半分、新曲が半分。
全体を聴いて感じたのは、これはコンピレーションというよりは「重音テトの1stアルバムだ」ということ。
そのキャラクターを愛する人々が丹誠込めて形にした、という「ぬくもり」が伝わって来ました。
新曲を多く収録することで、これまでニコ動で多くの動画を追ってきた層も満足させられたほか、
「耳のあるロボットの唄」や「世界の終わり」「サヨナラの瞬き」等、UTAU界隈を代表する楽曲も収録したことで
重音テトの歩んだ歴史に思いを馳せる事も出来ました。これも「1stアルバム」ならではの特権なのでしょうね。

9)ベッコー(夏空P)「Please, please smile.」

リリース: 2012/3/25
分類: VOCALOID
ジャンル: ジャズ、ポップス他
通販: とらのあな


極上のポップセンスを持ちながら、今年3月にこのアルバムをリリースして活動を停止したベッコーさんのアルバムです。
この人の作品を知った切っ掛けは、おそらく「VOCAJAZZ」コンピレーション。
その後、「都会のドロシー」を聴いて衝撃を受けました。こんな上質なポップスがニコ動にあったなんて!
(ちなみに「都会のドロシー」は、僕の昨年のボカロ曲10選にも入れさせて頂いております)
こゆきさんやはいのことんさんの書く詞や、ジャケットイラストの泣き顔もまた素晴らしい。
あらゆるものが詰め込まれた、非常に満足度の高いエンターテイメントです。
願わくば、またどこかでこの人の音楽が聴ける日が来ることを。

10)「MiKTRoNicA Vol.1」

リリース: 2012/12/15
分類: VOCALOID
ジャンル: エレクトロニカ
通販: とらのあな


今年12月に出たばかりの1枚です。ジャケットイラストは「夏」さん。
今年は4月に「Mikgazer Vol.1」が出たりと、ジャンルごとのコンピレーションで大当たりが続いた印象でした。
どちらを掲載しようか最後まで迷っていましたが、好みの曲が多かったミクトロニカの方にしました。
かなり個性ある作家が多く参加されていたので、最初は「いつもの”ジャンルは最大公約数"のバラバラなアルバムかな」と思い、過剰な期待はせずに買ったんですが、聴いてすぐその考えを改めざるを得ませんでした。
リリースから5日しか経ってないけど、少なくとも5,6周はしています。ああなんて素敵なアルバムだろう!
このアルバムの感想は改めてブログで書こうと思っているので、この記事ではこのくらいで。