■非常階段 feat.初音ミク「初音階段」
大高丈宙ことヒッキーPの「Eutopia」に続き、ノイズミュージック大御所の非常階段がボーカロイドのアルバムを!
OTOTOY掲載のインタビューを読んでたら「うちならWAVが800円で買えるで」と言われたのでホイホイ購入。

Tr.1は、既に公開された「やさしいにっぽん人」のカバー。途中、曲をぶった切るように挿入されるノイズ以外は至って普通の打ち込みカバーで、既に非常階段の作品をいくつか聴いてた自分としては、少し拍子抜けしてしまいました。YouTubeとニコニコ動画に投稿された映像も、一枚絵でいかに魅せるかの工夫が実にボカロ曲っぽくて親近感が湧きました。

全4曲のアルバムですが、前半2曲が歌謡曲カバー、後半2曲が10分オーバーの本格的なノイズとなっています。
もちろん「本領発揮」は3曲目からなのですが、同じアルバムとはとても思えない落差で、想定内とはいえ大笑いしましたw この構成、ある意味では非常に尖っているけど、同時に非常階段のスタンスがとても素直に表れているなあと思えます。


■te'「ならば、意味から解放された響きは『音』の世界の深淵を語る。」「それは、鳴り響く世界から現実的な音を『歌』おうとする思考。」
地元のツタヤにte'のアルバムが結構揃っていることを突き止めたので、持っていない1stと2ndをレンタル。
最初は当時最新の4thから入ったのですが、後から初期音源を聴くと比較的穏やかな曲が多い事に気付かされます。

te'といえば長く抽象的・哲学的なタイトル(実はiTunes再生時の曲目表示にぴったり収まります)が特徴ですね。
タイトルの文章を黙読しながら、ハキハキしたボーカル不在のバンドサウンドに耳を傾ける。
どちらもかなりの情報量があるものですから、これ以上「歌」の必要性を感じなくなってしまいます。
「歌」を用いず、「音」だけで語る姿勢をずっと哲学し続けているのが、この「te'」というバンドです。
去年10月に出た最新の5thをどうやって手に入れようか、現在画策中…。

■toe「The Future Is Now EP」
ちょうど持ってなかった唯一のCDを見かけたのでレンタルしました。
1stと比べるとだいぶ柔らかくなりましたね。音作りが変化しただけでなく、ボーカルも入れるようになったからでしょうか。うーん、toeにはやっぱり1stのような、バンド4人の音が静かに拮抗しあう硬い音を求めてしまいますね。このほにゃーっとした音も決して悪くはないのですが、第一印象から抜け出せないゆえの違和感は数回聴いた程度では拭い切れませんでした。いつかは受け入れたい。

■HTC communications「Zatsu(((onn!!! compilation CD Britneyfuckedbusinesss」
Twitterを眺めていて流れてきた「ざつおん!」という同人誌に、雑音部の音楽部を聴く身としては反応せざるを得ず、pixivに公開されていた本のサンプルや、それの同人コンピレーションのDJ-MIX(という名の凝った試聴音源、なんと30分が無料で聴ける)を聴いてるうちにAmazonでまとめてポチってしまいました。

ボーカロイドの同人CDはよく見るようになりましたが、オリジナルの同人誌がAmazonに置いてあるのは珍しいかったです。そしてよく見たら、CDタイトルに謎の懐かしいワードが。なんでこの名前にしたかは分かりませんし、特に分かりたいとも思いませんが…。

なお、同人誌の著者でコンピ主催でもある「hitachtronics」さん、実は去年秋のM3でリリースされた雑音部の2作目(「まんきつ!」)にも参加されてたらしく、それをポチったのが届いた後になって認識した自分のあまりの不甲斐なさにひとり頭を抱えたのはここだけの話。

■Four Tet「0181」
去年リリースの「Pink」が未CD化曲集であることを忘れるほど濃密な一枚でしたが、今年に入ってすぐまた新しいのがリリースされていたでござる。しかもSoundCloudで無料ダウンロードまで出来るという!
「1997年から2001年に制作した音源をまとめた38分の曲」ということで、SoundCloud上でもダウンロードしたMP3も、トラック分けされていないひとつながりの曲です。

■909state「Remixes&Reconstructions」
「909stateがRemixした」ではなく、「909stateを寄ってたかってRemixした」方のリミックスアルバムです。
「Vol.4 Records」というネットレーベルからのリリース。tecra、Calla Soiled、Phasma、tofubeats等(以上、敬称略)によるRemixを24曲収録した大ボリュームの一枚です。いや、アートワークが2種類あったから二枚かな?(ちなみに二枚ともhitatitronicsさんの絵でした) ダ、ダウンロードしたからにはがんばって聴くんだからねっ。

■梶浦由記「ソードアート・オンライン Original Soundtrack vol.1」
TVアニメ「ソードアート・オンライン」のBlu-ray4巻付属CDとして購入。
33曲62分、前半の「アインクラッド編」の音楽を中心に収録しています(多分)。おそらく全部ではないですが。
こんな充実したコンテンツを特典扱いしてしまうなんて勿体無い!

さて話は変わりますが、アニメに限らず、劇伴音楽は「場面の盛り上げに徹した曲」と「それ自体が物語を持つ曲」に分類できると僕は考えているんですけど、この作品の劇伴音楽からは前者の姿勢が感じ取られました。
もともと梶浦さんご自身がかなり個性の強い作風をお持ちで、これまでリリースされたサウンドトラックは後者の構成、つまり音楽それ自体が物語を持ち、アニメ本編と独立した楽しみ方も可能なものが多いのですが、直近の作品、特にこのSAOはBGMに徹している印象でした。

もちろんどれが面白く、どれがつまらないという話ではないんですけど、各場面の装飾以上の意味を持たせない作り方だと、無難に盛り上げることは出来ても「ここでこういう曲にするのか!」という驚きや興奮が少なくなる分、前者のやり方が増えると、何度も噛みしめながら楽しむサントラが減ってしまう、という意味で僕は残念に思ってしまうのです。この人が活躍するのを見ているのはとても嬉しいけれど、これからこういう作り方へ移行していくのならそれはとても寂しいことだと思うのです。まあ、それだけです。