新年一発目のアルバムレビューです。
しばらくは、C87で買ったすべての作品(CD+本)の感想を少しずつ書いていきます。
あ、あとブログ名も変更しました。2015年も「DIVE INTO THE MUSIC」をよろしくお願いします。

■今回紹介する作品■

ふんわりちゃん / NIGHT HIKE

3作くらいまとめてドーン!とするつもりだったけど、ふんわりちゃんが思っていたより長くなったので単発で。

ふんわりちゃん / NIGHT HIKE

リリース: 2014/12/30
ジャンル: エレクトロニカ
販売: Public Rhythm Online Store


PhasmaとNOEL-KITの2人の作曲家によるユニットの最新作。NOEL-KITはDub-Russelというユニットでも活動するノイズ寄りの作風で、対するPhasmaは柔らかく可愛いエレクトロニカを得意とする。ミズノシンヤによるキャッチーなオリジナルキャラ「ふんわりちゃん」やその仲間たちをあらゆる場面で前に出すことで、音楽以外からのセールスアプローチを試みておりそこはとても同人的なのだが、そのキャラが前に出過ぎることなくあくまで「音楽を立てる」という役割から脱線しないようにしており、その線引きがしっかりしているところに好印象を抱く。さて、このユニットはフルアルバム「LVZ」を除き、イベントごとにリリースするEPのパッケージが普通のCDとちょっと違う。アナログEPサイズのジャケットであったり、袋とじだったり、基本的にグッズ付き(主にステッカー)だったりと、ビジュアルに拘るだけあってパッケージでも積極的に差別化を図ってきている。今作でも、本体のCDとステッカーがタイトル通り「夜のハイキング」を連想させる暗色の半透明な袋に封入されており、なんとこの袋はハサミで切らないと開けられない。少し抵抗があるが、ハサミで開けた後の袋がちょうどCDを入れるのにピッタリのサイズであり、棚に入れた時の高さもちょっと背の高い紙ジャケ程度であったため、袋に入れたままCDラックに収めることが出来て安心した。奇抜なパッケージに時々閉口することもあるが、今回はパッケージに特に不満はない。むしろ収納についてもよく考えられていてすごいなと正直に思った。そして、肝心のCDケースは上下に開く3面構造になっており、夜空の藍色の紙ケースの上には星空が、下には山が描かれていて、ここでもまたアルバム・タイトルを体現していていい感じだった(小並感)。画像を載せようか迷ったけど、やっぱり実際に買って確認してみて欲しいのでやめておく。

ああ、曲についての話が後回しになってしまった。今作はこれまでと少し作風が違うように感じられた。具体的には、これまでの作品にあった「合作感」が見られなかった。筆者自身が2人のソロの作風をよく知っていることもあり、合作であることを念頭に置いて聴いていたこともあるのだが、今作は完全に1人の作家が書いているような、統一された文脈上に乗せられた音を感じた。アルバム全体のサウンドは、湿度が高く重めのエレクトロニカ。それが全編に渡り展開されており、音の強弱のバランスをあえて歪めているところは、立ち込める霧のような冷たさ・不透明さを感じさせる。全体として重いサウンドなのだが、5曲12分と尺が短く、また5曲の中である程度の起承転結もしっかり構築されているため、思っていたよりも手軽に楽しめるアルバムとなっている。例えるなら味の濃い軽食といった趣だろうか。

このユニットは完全に「ビジュアル先行」だと筆者は理解している。まずジャケットを見て、キャラクターを見て、パッケージを手に取り、それから初めて音楽に触れる。音楽とビジュアルの関係性については意見の分かれるところだとは思うが、筆者は「楽しめればOK」というスタンスなので、エレクトロニカを始めとした「硬派」なイメージの強い音楽ジャンルにおいて、ふんわりちゃんみたいな立ち位置のユニットがこれから増えていけばますます面白くなると思う。そもそも、完売したアルバムに関してはダウンロード販売も行っているため、必ずしもビジュアルに頼りきっているわけではないことも着目すべきだろう。ただ、今回の「NIGHT HIKE」のように、音の重さをキャッチーなビジュアルでカバーするタイプの作品がずっと続いている気がするので、これからはキャッチーなイラストが音の硬派さを取り込み、逆に硬派な音がイラストに感化されて明るくなるような、両者が更に高い次元で融合した作品も鑑賞してみたい。1stアルバム「LVZ」にはそのような曲があったので、今後はEP単位でそれを実現できるかどうかに期待したいところである。